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アメリカの通商政策が新たな局面を迎えています。米国のトランプ大統領が新たに発動した追加関税措置(代替関税)に対し、オレゴン州、アリゾナ州、カリフォルニア州など計24州が「大統領の権限を逸脱している」として、米国際貿易裁判所に提訴しました。本記事では、違法とされた「相互関税」の背景から、新たに持ち出された「米通商法122条」をめぐる法的な争点までをわかりやすく解説します。
| 争点・項目 | トランプ政権(政府側)の主張 | オレゴンなど24州(原告側)の主張 |
|---|---|---|
| 発動の根拠 | 米通商法122条に基づく適法な権限行使 | 大統領権限を明確に越えた違法な行為 |
| 関税適用の理由 | 貿易赤字の是正と国内産業の保護 | 122条は「貿易赤字」を根拠とした関税を認めていない |
| 対象となる範囲 | 「国際収支の赤字対応」として広範に関税を適用 | 資本移動を含む「国際収支」と「貿易赤字」を混同している |
アメリカ合衆国における通商政策を巡る対立が、再び法廷の場へと持ち込まれました。2026年3月5日、カリフォルニア、オレゴン、アリゾナ、ニューヨークなどをはじめとする民主党系の24州は、トランプ政権が全世界を対象に新たに発動した一律10%の追加関税(代替関税)の差し止めを求め、米国際貿易裁判所に提訴しました。この訴訟の引き金となったのは、以前に導入され最高裁などで違法と判断された「相互関税」の穴を埋める形で、トランプ大統領が2月に強行した新たな関税措置です。
原告となった各州は、この新しい関税がアメリカ国内の経済に深刻な打撃を与え、消費者の生活コストを不当に引き上げるものであると強く反発しています。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は5日に発表した声明の中で、「最高裁で相互関税が覆され、幼児がかんしゃくを起こすように、米国民に新たな関税による負担を押し付けている」と述べ、トランプ大統領の政策決定プロセスを痛烈に批判しました。この発言は、今回の措置が法的な精査を欠いたまま、政治的な意図に基づき拙速に行われたという各州の懸念を端的に表しています。
米通商法122条の解釈を巡る法的な争点と「国際収支」の定義
今回の裁判において最大の争点となるのが、トランプ政権が関税発動の法的根拠として持ち出した「米通商法122条」の解釈です。この法律は本来、「巨額かつ深刻な国際収支の赤字」に対処する目的においてのみ、大統領の権限で最大15%の関税を150日間にわたって課すことを例外的に認める規定です。トランプ政権は、アメリカが抱える巨額の貿易赤字を理由にこの条項を適用し、事実上の代替関税として機能させようと試みました。
しかし、原告である24州の司法長官らは訴状の中で、経済学および法律の観点からこの適用が完全に誤っていると指摘しています。なぜなら、「国際収支」とは単なる輸出入の差額を示す「貿易収支」よりもはるかに広い概念であり、直接投資や証券投資などの「資本の移動」も包含しているからです。アメリカは貿易赤字を抱えている一方で、海外からの投資が流入しているため、総合的な国際収支という枠組みにおいては、122条の要件を満たすような危機的状況にはないと州側は主張しています。つまり、「122条は単なる貿易赤字を根拠に関税を課す権限を大統領に付与したものではない」というのが、今回の提訴における最も重要な法的根拠となっています。
今後の見通しとアメリカ経済・生活者への影響:
違憲とされた相互関税に代わる新たな関税措置が再び法廷で争われることになり、アメリカの通商政策は依然として不透明な状況が続いています。仮にこの追加関税が長期間にわたって維持された場合、輸入品の価格上昇を通じてインフレーションが加速し、一般消費者の家計に直接的な悪影響を及ぼす可能性が高いと多くの経済専門家が警告しています。また、世界各国との貿易摩擦が再燃し、報復関税の応酬に発展するリスクも孕んでいます。
米国際貿易裁判所がどのような判断を下すかは、今後のトランプ政権の政策運営や大統領権限の限界を規定する上で極めて重要な意味を持ちます。大統領の権限行使が適法と認められるのか、それとも24州の主張通り「権限の逸脱」として差し止められるのか。司法の場における今後の審理の行方から目が離せません。
- ロイター通信:「米代替関税、24州が差し止め求め提訴 トランプ政権の違法性主張」(2026年3月5日配信)
- ブルームバーグ:「トランプ氏の新たな一律関税、24州の司法長官らが無効判断求め提訴」(2026年3月5日配信)
- 日本経済新聞:「トランプ代替関税でも訴訟 オレゴンなど24州、徴収停止を要求」(2026年3月6日配信)
- カリフォルニア州 ギャビン・ニューサム知事 声明文(2026年3月5日)

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