ポケモンコラボ商品が中国で販売停止——靖国神社イベント騒動の影響が拡大

PXL 20260216 社会

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人気アニメ「ポケットモンスター」(ポケモン)と中国企業がコラボレーションしたアパレルや靴などの商品の一部が、中国国内で相次いで販売停止となっていることが明らかになりました。背景には、2026年1月に靖国神社で計画されたポケモン関連のイベントが中国国内で強い批判を浴びた問題があり、その余波が商品販売にまで波及した形です。

ユニクロ:中国全土でポケモン関連商品が姿を消す

ユニクロ(UNIQLO)は中国市場でポケモンとのコラボレーション衣類を展開してきましたが、現在は販売サイトの商品一覧にポケモン関連商品が表示されず、購入ができない状態になっています。朝日新聞の記者が訪れた瀋陽のユニクロ2店舗でも、ポケモン関連商品が販売されていないことが確認されました。

中国メディア・環球時報(Global Times)の調査では、ユニクロの公式アプリのほか、JD.com(京東)やTaobao(淘宝)の旗艦店からもポケモンブランドの商品がすべて消えています。北京・三里屯のユニクログローバル旗艦店のスタッフは「今週初めにすべてのポケモン関連商品が撤去された」と証言し、上海・南京西路のグローバル旗艦店でも「オフライン店舗からのポケモン商品撤去は全国的な統一措置だ」と回答しています。

ユニクロを展開するファーストリテイリングは朝日新聞の取材に対し、「個々の商品の取り扱いについてお答えはしていない」としており、公式な理由の説明は行っていません。

李寧(リーニン):「本社の指示で販売停止」

中国の大手スポーツブランド「李寧(Li-Ning)」もポケモンとのコラボシューズを販売していましたが、瀋陽市内の直営店によると「本社の指示で販売を停止した」とのことです。李寧の公式カスタマーサービスも環球時報の取材に対し「関連商品はオンラインでの販売を終了した」と回答しましたが、撤去の具体的な理由については明かしていません。北京の複数の大型店舗でもポケモンコラボ商品の販売が停止されていることが確認されています。

発端:靖国神社でのポケモンカードイベント計画

今回の騒動の発端は、2026年1月にポケモンカードゲームの公式サイト上で、東京・靖国神社を会場とするポケモンカード体験イベントの開催情報が掲載されたことにあります。このイベントは1月31日に子どもがカードゲームを体験できる催しとして計画されていましたが、中国のSNSで情報が急速に拡散し、大きな反発を招きました。

靖国神社は約250万人の戦没者を祀っていますが、A級戦犯を含む1,000人以上の戦争犯罪者が合祀されているため、中国や韓国からは日本の軍国主義の象徴と見なされています。

中国共産党機関紙・人民日報は「歴史を軽視し、中国人民の感情を傷つけるブランドは、最終的に市場から見捨てられるだろう」とSNS・微博(Weibo)上で論評。国営メディア・環球時報も「このような場所で娯楽活動を行うことは、歴史的事実への公然たる侮辱であり、子ども向けのイベントを開催することはさらに悪質だ」と批判しました。

ポケモン社の謝罪と対応

株式会社ポケモンは2026年1月30日、日本語と中国語の二言語で謝罪声明を公式サイトに掲載しました。声明によると、問題のイベントはポケモンカードの公認資格を持つ個人が主催するもので、第三者によるイベント情報が公式サイトに登録された際、「確認不足で誤って掲載」してしまったと説明しています。

同社は「本来開催されるべきではないイベントだった」とし、問題の把握後ただちに情報を削除してイベントを中止したと発表。今後はイベント情報の審査・確認プロセスを抜本的に見直し、再発防止に努めるとしています。また「ポケモンが世界をつなぐ」という理念のもと、すべての人が安心して楽しめる体験を提供すると強調しました。

過去にもあった靖国神社をめぐるポケモンの問題

メディアやネットユーザーの間では、ポケモンが靖国神社と関連づけられるのは今回が初めてではないと指摘されています。2016年には「ポケモンGO」のゲーム内で靖国神社がバトル拠点「ジム」やアイテム補給スポット「ポケストップ」に設定されていたことが報じられました。また2019年には、ポケモンの株主の一社であるクリーチャーズ社の社員が靖国神社を参拝し、SNS・X(旧Twitter)に投稿。批判を受けて投稿は削除されたものの、明確な謝罪は行われなかったとされています。

コナンにも波及——中国で日本コンテンツへの圧力が拡大

ポケモンだけでなく、日本の人気アニメ「名探偵コナン」もこの時期に中国で批判の対象となっています。こちらの発端はコナンのテレビアニメ放送30周年と「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」のテレビアニメ放送10周年を記念したスペシャルコラボレーションでした。「ヒロアカ」は過去に登場キャラクター「志賀丸太」の名前が旧日本軍731部隊の被験者を指す「マルタ」を連想させるとして中国で炎上した経緯があり、「中国侮辱作品」のレッテルを貼られていました。このコラボにより、コナンにまで批判が拡大する事態に発展しています。

中国各地の漫画・アニメイベントでは、名探偵コナンのキャラクターのコスプレやグッズ販売が相次いで禁止されています。中国北方地域最大規模とされる「北京国際動漫遊戲狂歓節(IJOY)」も、ヒロアカとコナンの2作品のコスプレ・グッズ展示販売を禁止する措置を取りました。

背景にある日中関係の悪化

今回の一連の騒動は、近年悪化している日中関係の文脈の中で起きています。BBCやAPの報道によると、2024年11月に日本の高市早苗首相(当時就任直後)が中国の台湾に対する軍事行動に日本が関与する可能性を示唆する発言をしたことで、中国側が激しく反発。日中双方が国民に相手国への渡航を控えるよう呼びかける事態にまで発展し、日本映画2本の中国公開も延期されました。こうした政治的緊張がエンターテインメント分野にも影響を与えており、日本コンテンツのブランド戦略に深刻な課題を突きつけています。

時系列まとめ

日付出来事
2026年1月下旬ポケモンカードゲーム公式サイトに靖国神社でのイベント情報が掲載される
2026年1月29〜30日中国SNSで情報が拡散し、大規模な批判に発展
2026年1月30日株式会社ポケモンが日本語・中国語で謝罪声明を発表、イベント中止を発表
2026年1月31日予定されていたイベント日。中止により開催されず
2026年2月上旬ユニクロ・李寧など、中国国内でポケモンコラボ商品の販売を停止
2026年2月上旬名探偵コナンも中国各地のイベントでコスプレ・グッズ販売禁止に
2026年2月16日朝日新聞が瀋陽のユニクロ2店舗でポケモン商品の販売停止を確認・報道

影響を受けた主な企業・ブランド

企業・ブランド国籍コラボ内容現在の状況
ユニクロ(UNIQLO)日本ポケモンUTシリーズ、UTme!デザイン、キャンバスバッグなど中国全土のオンライン・オフライン店舗で販売停止
李寧(Li-Ning)中国ポケモンコラボシューズ本社指示により販売停止

今後の見通し

2026年はポケモンシリーズ誕生30周年の節目の年であり、これまで多くのブランドが記念コラボレーション商品を展開してきました。しかし今回の騒動により、中国市場でのポケモンブランドへの信頼は大きく揺らいでいます。中国の消費者からは「中国はポケモンにとって極めて重要な市場であり、歴史や政治的背景への配慮を欠いた姿勢は受け入れられない」「今後はポケモン関連のコラボ商品を購入するつもりはない」といった声が上がっています。

ユニクロでは2026年3月下旬にポケモンとの新たなUTコレクション(「ポケットモンスター 赤・緑」水彩タッチデザイン)の発売を予定していますが、中国市場での展開がどうなるかは不透明です。ポケモン社が今後どのように信頼回復に取り組むか、また日中関係の動向がエンターテインメント産業にどのような影響を与えるか、引き続き注視が必要です。


出典・参考情報


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