ピザ・ロイヤルハット本部破産の原因は?徳島等閉店と愛媛・香川「ピザロイ」の現状

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徳島県を発祥とする宅配ピザチェーン「ピザ・ロイヤルハット」のフランチャイズ(FC)本部機能を担っていた株式会社ピザ・ロイヤルハット(徳島市南昭和町)が、2026年5月27日付で徳島地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことが、帝国データバンクへの取材で明らかになった。負債総額は約1億円。1989年の創業から35年──四国・中国地方を中心にローカルブランドとして親しまれてきた老舗ピザチェーンは、FC運営会社「ステップ二十一」の3月の破産に続き、本部までもが法的整理に踏み切る事態となり、事実上ブランド存続の岐路に立たされた。

ピザ・ロイヤルハット本部が破産手続

帝国データバンク徳島支店および東京商工リサーチへの取材によれば、破産手続き開始決定を受けた株式会社ピザ・ロイヤルハットは、徳島県徳島市南昭和町1丁目に本社を構えていた小売・外食関連企業。法人登記上の設立は1993年(平成5年)4月1日だが、創業は1989年(平成元年)9月21日にさかのぼる。代表取締役会長は石津治男氏が長く務めてきた。

同社はピザ・ロイヤルハットのFC本部として、ブランド・レシピ・サプライチェーンを統括し、加盟店合計で売上47億円を計上した時期もあった。しかし、2025年12月の愛媛FC運営会社「株式会社大乗」のFC契約解消・独立、続く2026年3月の徳島県内FC運営会社「ステップ二十一」(負債約5億6,000万円)の破産という連鎖を受け、本部側のロイヤリティ収入が急減。資金繰り維持が困難となり、徳島地裁に自ら破産を申し立てた。

注目すべきは、本部の負債約1億円という金額は、運営会社ステップ二十一の負債5億6,000万円に比べ大幅に小さい点だ。これは本部が「ブランド・レシピ保有と統括」という軽資産モデルで運営されていたためであり、ピザの製造・配達を担う重資産側のFC運営会社が先に破綻し、本部はその影響で間接的に経営継続を断念した構図といえる。

💡 関連用語ミニ解説
FC本部(フランチャイズ本部)とは、ブランド・商標・ノウハウを加盟店に提供しロイヤリティを得る事業者。一方FC運営会社(加盟店)は実店舗を運営しピザを製造・配達する主体。今回はその両輪が相次いで破綻した珍しい事例。

創業35年──ピザ・ロイヤルハットの歴史と崩壊までの道のり

ピザ・ロイヤルハット 35年の歴史と崩壊までの道のりタイムライン:1989年創業から2026年5月本部破産までの主要マイルストーン
▲ 図解②:1989年創業から2026年本部破産までのタイムライン

ピザ・ロイヤルハットは、米国発「ピザハット(Pizza Hut)」とは綴り(Hut/Hat)も資本関係も全く異なる、徳島生まれの純国産ローカルピザチェーンである。最大の特徴は、ピザ生地にイタリア・アルプス山麓コモ湖周辺で400年間受け継がれてきた天然酵母「パネトーネマザー」を使用し、オリジナル配合の小麦粉と合わせて自家製生地を一から手作りしていた点にあった。

主要マイルストーン

  • 1989年9月21日:徳島県徳島市にて創業。地方発祥の宅配ピザブランドとして産声を上げる。
  • 1993年4月1日:株式会社として法人化。本社を徳島県徳島市南昭和町1丁目9番地2に設置。
  • 2000年代:四国・中国地方を中心にFC展開を加速。瀬戸内エリアで強い顧客ロイヤルティを確立。
  • ピーク期:全国26店舗体制、加盟店合計売上高47億円規模。徳島・香川・愛媛・高知・広島・岡山・兵庫・岐阜の8府県に展開した記録もある。
  • 2025年12月:愛媛県内12店舗を経営していた株式会社大乗がFC契約を終了して独立。店舗名を「ピザロイ」に変更。
  • 2026年3月24日:FC運営会社ステップ二十一(徳島市)が徳島地裁から破産手続き開始決定。負債約5億6,000万円。徳島県内全7店舗を含む14店舗が一斉閉店。
  • 2026年5月27日:本部の株式会社ピザ・ロイヤルハットも徳島地裁から破産手続き開始決定。負債約1億円(帝国データバンク調べ)。破産管財人に森晋介弁護士が選任。
  • 2026年6月1日:香川県内7店舗を運営していたワイビー株式会社も「ピザロイ」へブランド転換。

同社が他チェーンと一線を画していたのは、「いい物、いい味、一から手作り」を企業理念に掲げ、安易な値引きやタイアップ企画に走らず、堅実な品質本位の経営方針を貫いていた点だ。その分、全国宅配ピザ平均と比べると価格帯は高めで、競合チェーンの低価格攻勢には次第に押されていったとされる。

徳島・高知・広島は閉店、愛媛・香川は「ピザロイ」へ──地域別店舗の最新状況

ピザ・ロイヤルハット 旧店舗エリアと現状マップ:徳島・高知・広島は閉店、愛媛と香川はピザロイへ転換

▲ 図解③:西日本における旧ロイヤルハット店舗の現状マップ

本部破産を受け、ロイヤルハット系列の店舗網は地域ごとに明暗が大きく分かれている。以下、自治体・運営会社別に最新状況を整理する。

🔴 完全閉店エリア

地域 店舗数 運営会社 現状
徳島県 全7店舗 ステップ二十一 2026年3月24日 全店閉店
高知県 5店舗(高知・高知東・高知西・高知大津・高知南国) ステップ二十一 2026年3月24日 閉店 ※長浜店のみ別会社運営で営業継続
広島県 数店舗 ステップ二十一 2026年3月 閉店

🟢 「ピザロイ」へブランド転換したエリア

地域 店舗数 運営会社 転換時期
愛媛県 12店舗 株式会社大乗 2025年12月にFC離脱、独立
香川県 7店舗 ワイビー株式会社 2026年6月1日にピザロイへ転換

このように、ロイヤルハットを冠した店舗網は実質的に消滅し、その後継ブランドとして「ピザロイ」が愛媛・香川を中心に約19店舗で営業を継続している格好だ。徳島・高知・広島で長年親しんできた顧客にとっては「失われたソウル・フード」となるが、瀬戸内エリアの一部地域ではブランド名を変えながらも生地・味は継承される形となっている。

なぜロイヤルハットは破産したのか?経営悪化の4大要因を徹底分析

なぜ破産?ピザ・ロイヤルハット 経営悪化の4大要因インフォグラフィック:多角化失敗、競合出店、コスト高騰、FC離脱の悪循環

▲ 図解④:経営悪化を招いた4大要因の構造

東京商工リサーチおよび帝国データバンクの調査結果、および各種報道を総合すると、ピザ・ロイヤルハットおよびFC運営会社ステップ二十一の経営破綻には、以下の4つの構造的要因が複合的に作用したことが見えてくる。

① 多角化経営の失敗

ロイヤルハットグループは、宅配ピザ事業から派生する形でイタリアンカフェ業態(クレメントプラザ店など)へも展開を試みた。しかし、いずれも長続きせず順次閉店。コア事業に投じるべき経営資源を分散させてしまい、本業の競争力強化が遅れた。

② 大手宅配ピザチェーンの出店ラッシュ

ピザハット日本法人、ドミノ・ピザ、ピザーラ、ナポリの窯といった全国大手チェーンが、四国・中国地方への出店を強化。価格・スピード・販促キャンペーンで地方ローカルブランドを圧倒し、ロイヤルハットの市場シェアは漸減していった。とりわけ大手のクーポン・割引攻勢は、堅実価格を貫いてきたロイヤルハットの顧客層を奪う結果となった。

③ 原材料・エネルギーコストの歴史的高騰

2022年以降の世界的なインフレ、円安、ウクライナ情勢を背景に、小麦粉・チーズ・トマト・オリーブオイルといった輸入原材料費が軒並み高騰。さらに配達車両の燃料費、店舗の光熱費も上昇。値上げ転嫁が追いつかず、加盟店レベルで採算が急速に悪化した。

④ FC加盟店の連鎖離脱

最大の決定打となったのが有力FC加盟店の連鎖離脱だ。2025年12月、愛媛12店舗を運営してきた株式会社大乗がFC契約を打ち切り「ピザロイ」として独立。本部にとっては年間ロイヤリティ収入の大きな柱を失う事態となった。続いて2026年3月にステップ二十一が破産、6月には香川7店舗を運営するワイビーもピザロイへ転換し、本部のロイヤリティ収入基盤はほぼ消失した。

ステップ二十一は「金融機関などの支援で再建を目指したものの、スポンサーが見つからず、資金繰りが維持できなくなった」と報じられている。本部側も同様にスポンサー探索が難航し、最終的に自主的な破産申立てに至ったとみられる。

「ピザ・ロイヤルハット」から「ピザロイ」へ──ブランド継承の行方

ピザ・ロイヤルハット vs ピザロイ ブランド転換の比較インフォグラフィック:旧ブランドと新ブランドの違いを左右で比較

▲ 図解⑤:旧「ピザ・ロイヤルハット」と新「ピザロイ」の比較

本部破産という重い事実とは別に、注目すべきは味と生地の継承だ。FC契約から離脱した株式会社大乗(愛媛・本社)とワイビー株式会社(香川)は、新ブランド「ピザロイ」のもと、ロイヤルハットの代名詞であった天然酵母パネトーネマザー由来の自家製生地と、長年の常連が愛してきたレシピを継続している。

ピザロイの基本情報

  • 運営会社:株式会社大乗(愛媛/12店)、ワイビー株式会社(香川/7店)
  • 店舗数:愛媛12店舗 + 香川7店舗 = 計19店舗
  • ブランド誕生:2025年12月(愛媛先行)、香川は2026年6月1日に転換
  • 商品特徴:パネトーネマザー天然酵母生地を継承、味とレシピはほぼそのまま
  • 注文方法:宅配・テイクアウト両対応、各店舗のオンライン注文サイトおよび電話受付

これは「ブランド名は失われても、商品と店舗ネットワークは別法人によって生き残る」というローカルチェーン特有の事業承継パターンであり、地域経済論的にも興味深い事例だ。本部破産による商標・知的財産の整理が今後どのように進むかは破産管財人(森晋介弁護士)の対応次第だが、現時点では「ピザロイ」側は法的にもブランドを切り離した形での運営となっている。

徳島・高知ファンに残された選択肢

徳島・高知エリアの旧ロイヤルハット顧客にとって、現時点で同等の味を求めるなら、愛媛・香川のピザロイへのオンライン注文(配達エリア外の場合は冷凍ピザ等の取り寄せ対応の有無を各店に確認)、または同じ天然酵母系ピザを提供する地域店舗を探すなどの選択肢が残されている。徳島エリアの正規ロイヤルハット店舗は2026年3月24日をもって全閉店しており、再オープンの目処は立っていない(高知新聞報道)。

本件が示す地方ローカル外食チェーンの構造課題と教訓

ピザ・ロイヤルハットの破産は、単なる一企業の倒産にとどまらず、地方発ローカル外食チェーンが現代のコスト構造と全国チェーンの圧力下でいかに難しい舵取りを迫られているかを象徴する事例として、業界関係者の注目を集めている。

教訓① 「軽資産モデル」のFC本部も無傷ではいられない

本部負債1億円対FC運営側5.6億円という金額差は、FC本部が比較的軽資産で運営できる事業モデルであることを示すと同時に、収入源(ロイヤリティ)が加盟店パフォーマンスに完全依存する脆さも浮き彫りにした。加盟店が連鎖離脱すれば、軽資産であってもキャッシュフローは止まる。

教訓② 価格戦略と品質戦略のジレンマ

ロイヤルハットは「いい物、いい味、一から手作り」を掲げ、品質本位で勝負した。しかし、宅配ピザ市場では大手の「ハーフ&ハーフ」「2枚目無料」「LINE割引」といった派手な販促が定着しており、堅実価格は購買心理面で不利に働いた可能性が高い。地方発ブランドが大手と差別化する難しさが改めて浮き彫りになった。

教訓③ コア事業外への多角化リスク

イタリアンカフェ業態など、コアの宅配ピザから派生した事業はいずれも長続きせず撤退に追い込まれた。資金繰りが綱渡りの中小ローカルチェーンにとって、安易な多角化は致命傷となりうることを再認識させる。

教訓④ ブランド存続と法人存続は別問題

本件で際立つのは、本部法人が破産しても、商品(生地・レシピ)と店舗網は「ピザロイ」として別法人下で生き残った点だ。これは地方ローカルブランドの新しい承継モデルとして注目に値する。商標権・知的財産の取り扱いが破産管財人の手に委ねられる中で、味とサービスの本質を継承する別ブランドが立ち上がる──消費者にとっては「名前は変われど味は守られる」結末となりうる。

よくある質問(FAQ)

Q1. ピザ・ロイヤルハット本部の破産日と負債額を教えてください。

A1. 株式会社ピザ・ロイヤルハット(徳島市)は2026年5月27日付で徳島地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けました。負債総額は帝国データバンクの調べで約1億円です。

Q2. FC運営会社ステップ二十一の破産との関係は?

A2. ステップ二十一は徳島県内全7店舗を含む14店舗を運営していたFC運営会社で、2026年3月24日に先行して破産(負債約5億6,000万円)。FC本部のピザ・ロイヤルハットはロイヤリティ収入の柱を失い、続いて5月27日に破産しました。

Q3. ロイヤルハット系の店舗は今後営業しますか?

A3. 徳島・高知・広島の旧ステップ二十一運営店舗は閉店済み。一方、愛媛県内12店舗(株式会社大乗)と香川県内7店舗(ワイビー株式会社)は新ブランド「ピザロイ」として営業継続中です。なお高知市の長浜店のみ、別運営会社のため引き続き「ピザ・ロイヤルハット」名で営業しています。

Q4. ピザロイはロイヤルハットと味は同じですか?

A4. 運営する株式会社大乗・ワイビー株式会社はいずれも、ロイヤルハットの代名詞であったパネトーネマザー天然酵母生地と従来レシピを継承していると公表しています。ブランド名は変わりましたが、商品の本質はおおむね引き継がれているとされます。

Q5. 徳島県内でロイヤルハットのピザは買えませんか?

A5. 徳島県内の正規ロイヤルハット店舗は2026年3月24日をもって全店閉店しており、現時点で店頭・宅配ともに購入手段はありません。再オープンの予定も立っていません(出典:徳島新聞・高知新聞)。

まとめ──35年の徳島発ピザブランドが残したもの

1989年9月、徳島の地で産声を上げた宅配ピザ「ピザ・ロイヤルハット」は、四国・中国地方を中心に瀬戸内のソウル・フードとして35年もの間愛され続けた地方発ローカルチェーンであった。パネトーネマザー天然酵母を用いた自家製生地という品質本位の哲学は、価格競争に走らない堅実な経営姿勢とともに、地元客のロイヤルティを長く支えてきた。

しかし、原材料コストの歴史的高騰、大手チェーンの低価格攻勢、多角化の失敗、そしてFC加盟店の連鎖離脱──これら複合要因の前に、まずFC運営会社ステップ二十一が3月に倒れ(負債5.6億円)、続いて2026年5月27日にFC本部までもが負債1億円で徳島地裁から破産手続き開始決定を受け、ブランドは事実上の終焉を迎えた。

一方で、愛媛・香川の19店舗は「ピザロイ」として味と生地を継承し、新たな船出を切っている。「法人は破綻しても、味と店は地域に残る」──ピザ・ロイヤルハットの破産は、地方ローカル外食チェーンの新しいブランド承継モデルとして、また現代の中小外食業を取り巻く構造的課題の象徴として、長く業界に記憶されるであろう事例となった。

編集部は今後も、本部破産の管財業務の進捗、商標権の行方、ピザロイの店舗網拡大動向について継続して取材を続ける。

出典・参考情報

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