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愛媛県内で「1年以内に倒産する確率」が高いと判定された企業が1352社にのぼることが、帝国データバンク松山支店の独自分析で明らかになりました。前年から53社増加し、4年ぶりの増加に転じた形です。高リスク企業の約8割は従業員10人未満の小規模事業者であり、売上1億円未満の企業が6割超を占めるなど、地域経済を支える中小・零細企業の経営基盤の脆弱さが改めて浮き彫りになっています。
2026年9月に返済ピークを迎えるコロナ借換保証や、中東情勢の混迷による物流混乱、原油高・原材料高といった外部環境の悪化も重なり、愛媛県内の企業倒産はさらに増加する可能性が指摘されています。
帝国データバンクの「倒産予測値」とは?10段階グレードで算出されるリスク指標の仕組み
今回の調査で用いられている「倒産予測値」とは、帝国データバンクが独自に開発・運用する企業リスク指標です。この指標は、個別企業が今後1年以内に倒産する確率を、G1(最もリスクが低い)からG10(最もリスクが高い)までの10段階のグレードで数値化するものです。帝国データバンクが全国に展開する調査員による現地現認の信用調査データと、同社が長年にわたり蓄積してきたビッグデータを統合し、倒産に関係が深い要素だけに焦点を当てた独自の統計モデルによって算出されています(出典:帝国データバンク「全国企業『倒産リスク』分析調査(2025年)」2026年3月17日発表)。
グレードの数値が高いほど、実際に倒産が発生している割合も高くなるという統計的裏付けがあり、企業信用調査の現場では取引先の与信管理やリスクマネジメントのツールとして広く活用されています。今回の愛媛県のデータでは、このグレードが「8~10」に該当する企業を「高リスク企業」として分類し、調査対象の1万8938社に対して抽出を行っています。
帝国データバンク松山支店が2026年4月15日に発表したこの調査は、2025年12月時点のデータを基に愛媛県内の企業リスクを独自に算出したものです。なお、同様の分析は全国レベルでも3月17日に公表されており、全国の調査対象147万社のうち高リスク企業は全体の8.7%にあたる12万8220社で、前年比1260社増(1.0%増)と4年ぶりに増加に転じたことが報告されています(出典:帝国データバンク「全国企業『倒産リスク』分析調査(2025年)」)。愛媛県内の高リスク企業の比率は7.1%で全国平均の8.7%を下回っているものの、前年比で増加に転じた点は全国的な傾向と軌を一にしています。
愛媛県内の高リスク企業1352社の内訳──従業員規模・売上規模別に見る経営実態
帝国データバンク松山支店の発表によれば、愛媛県内で2025年12月時点の分析対象となった1万8938社のうち、倒産予測値グレード「8~10」の高いリスクに該当する企業は全体の7.1%にあたる1352社でした。これは前年と比べ53社の増加であり、4年ぶりに増加に転じた数値です(出典:FNNプライムオンライン(テレビ愛媛)2026年4月20日配信)。
従業員規模別に見ると、従業員10人未満の企業が全体の77.4%を占めており、小規模事業者にリスクが集中している構造が鮮明です。この傾向は全国レベルの調査でも同様に見られ、全国では従業員10人未満の企業が高リスク企業の80.1%を占めています(出典:帝国データバンク全国調査)。愛媛県の77.4%という数値は全国平均よりやや低いものの、依然として「小規模企業のリスク集中」という構造的課題は変わりません。
売上高の面では、「1億円未満」の企業が高リスク企業全体の61.8%を占めています。売上規模の小さな企業ほど、原材料費やエネルギーコストの上昇を自社で吸収する余力に乏しく、取引先への価格転嫁も困難になりやすいことが背景にあります。帝国データバンクの全国調査では、高リスク企業と中低リスク企業(グレード1~7)の間で、従業員一人当たりの売上高に約1.4倍の生産性格差が生じていることも報告されています。高リスク企業は設備や人材への投資余力に乏しく、他社との差別化が困難になることで価格交渉力が弱まり、さらに資金が枯渇するという悪循環に陥っている構造が指摘されています(出典:帝国データバンク全国調査)。
愛媛県の実際の倒産件数を見ても、この傾向は裏付けられます。帝国データバンク松山支店の別の発表によれば、愛媛県内で2025年度(2025年4月~2026年3月)に1000万円以上の負債を抱え倒産した企業は59件と高水準が続きました。一方で負債総額は88億6000万円と、2000年以降で3番目に低い水準にとどまっています(出典:Yahoo!ニュース(テレビ愛媛配信)2026年4月7日)。つまり、大型倒産は少ないものの、小規模企業の倒産が「件数ベース」で高い水準を維持しているという現実がここにあります。
| 区分 | 構成比 |
|---|---|
| 従業員10人未満 | 77.4% |
| 売上高1億円未満 | 61.8% |
| 高リスク企業の合計数 | 1,352社(対象1万8,938社中) |
| 対前年増減 | +53社(4年ぶり増加) |
出典:帝国データバンク松山支店 2026年4月15日発表/FNNプライムオンライン(テレビ愛媛)2026年4月20日配信を基に筆者作成
業種別ランキング:運輸業・飲食店・建設業が上位に集中する背景
愛媛県内の高リスク企業を業種別に見ると、最も多いのは「運輸業」の140社です。次いで「飲食店」が139社、「職別工事業」が125社、「総合工事業」が110社と続いています(出典:FNNプライムオンライン(テレビ愛媛)2026年4月20日配信)。この上位4業種で高リスク企業全体の約38%を占めており、特定の業種にリスクが集中している構造が読み取れます。
運輸業が最多となった背景には、燃料費の高騰が長期にわたり継続していることに加え、2024年問題(トラックドライバーの残業規制強化)への対応負担が重くのしかかっている事情があります。ただし、全国レベルでは運輸業の高リスク企業はむしろ前年比19.5%減の9521社に改善しており、運賃の価格転嫁が進んだ企業では収益回復が図られています(出典:帝国データバンク全国調査)。この全国的な改善傾向に愛媛県の運輸業がどこまで追随できているかは注視が必要です。
飲食店については、全国調査で業種内の高リスク企業「出現率」が43.0%と全業種中最高であることが報告されています(出典:帝国データバンク全国調査)。つまり、飲食店の約2.3社に1社が高リスク企業という計算になります。コロナ禍での行動制限は解除されて久しいものの、原材料費や人件費の上昇、消費者の節約志向の強まりなどにより、特に個人経営や小規模チェーンの飲食店は依然として厳しい経営環境に置かれています。
建設業に分類される「職別工事業」と「総合工事業」を合わせると235社に達し、実質的には建設業セクターが愛媛県の高リスク企業で最大のボリュームを占めています。全国の業種大分類別でも、建設業の高リスク企業は3万154社と製造業に次いで2番目に多く、前年比1337社・4.6%増となっています。公共工事の縮小傾向や資材価格の高騰、慢性的な人手不足といった複合的な要因が建設業の経営を圧迫しています。
| 順位 | 業種 | 高リスク企業数 |
|---|---|---|
| 1位 | 運輸業 | 140社 |
| 2位 | 飲食店 | 139社 |
| 3位 | 職別工事業 | 125社 |
| 4位 | 総合工事業 | 110社 |
出典:帝国データバンク松山支店 2026年4月15日発表/FNNプライムオンライン(テレビ愛媛)2026年4月20日配信を基に筆者作成
コロナ借換保証の返済ピークと中東情勢──2026年後半に迫る「二重リスク」
今回の調査結果で特に注目すべきは、帝国データバンク松山支店が今後の見通しとして警鐘を鳴らしている2つのリスク要因です。
第一に、コロナ禍で実施された資金繰り支援策「コロナ借換保証」の返済が2026年9月までにピークを迎えるという点です(出典:FNNプライムオンライン 2026年4月20日配信)。帝国データバンクの全国調査では、コロナ借換保証は約27.7万件・約7.1兆円の規模に達しており、その約8割が据置期間2年以内の設定であることから、2026年4月から9月にかけて返済開始が集中すると報告されています(出典:東京商工リサーチ 2026年3月9日配信)。
コロナ借換保証とは、新型コロナ対策として行われた実質無利子・無担保融資(いわゆる「ゼロゼロ融資」)から借り換えた保証制度のことです。ゼロゼロ融資そのものの返済ピークは2024年4月頃に到来していましたが、返済が困難な企業に対して借換の機会が提供され、その据置期間が終了する2026年の春から秋にかけてが「最後の返済ピーク」と位置づけられています。コロナ禍という非常時に調達した資金の返済負担が、物価高や人件費上昇という平時の経営圧力と重なることで、資金繰りの行き詰まりを引き起こす企業が一段と増える可能性があります。
第二のリスク要因は、中東情勢の混迷に伴う物流混乱とエネルギーコストの上昇です。帝国データバンクの全国調査では、米・イスラエルによるイラン攻撃とそれに対するイランの周辺国への報復が発生し、地政学リスクが一段と高まっている状況が指摘されています。これにより原油高やエネルギーコストの上昇に加え、原材料調達の難航、物流の遅延、金融市場の混乱といったリスクが重なり、事業への影響は国内外を問わず広範囲に及ぶ可能性があるとされています(出典:帝国データバンク全国調査「今後の見通し」)。
帝国データバンク松山支店も、愛媛県について同様の見解を示しており、経営基盤が弱い企業は資金繰りの悪化が避けられないと指摘しています。コロナ借換保証の返済負荷と中東リスクという「二重のリスク」が2026年後半に向けて重なることで、高リスク企業のさらなる増加、ひいては実際の倒産件数の増加へとつながる懸念が強まっています。
なお、2025年度(2025年4月~2026年3月)の全国の倒産件数は1万425件(前年度比3.5%増)と4年連続で前年度を上回り、2年連続で年度1万件を超える水準が続いています(出典:帝国データバンク「倒産集計 2025年度報」2026年4月8日発表)。2025年度には人手不足倒産が過去最多の442件を記録するなど(出典:東京商工リサーチ 2026年4月8日発表)、構造的な要因による倒産も増加傾向にあり、愛媛県もこの全国的な潮流と無縁ではいられない状況です。
全国12.8万社の倒産リスクと愛媛県の位置づけ──企業間二極化の行方
帝国データバンクが2026年3月17日に発表した全国調査の全体像を踏まえると、愛媛県の高リスク企業1352社という数字がどのような文脈に置かれるのかがより明確になります。
全国147万社を対象とした分析では、2025年12月時点の高リスク企業は12万8220社で全体の8.7%を占めました。前年比1260社増と小幅ながら4年ぶりの増加です。業種大分類別では「製造業」が3万1035社で最多となり、前年トップだった「建設業」(3万154社)を逆転しました。トランプ関税、円安・原材料価格の高騰、人手不足などのコスト増に価格転嫁が追いつかず、中小の製造業を中心に高リスク企業が増加したことが逆転の要因です(出典:帝国データバンク全国調査)。
愛媛県の高リスク企業比率7.1%は、全国平均の8.7%を下回っています。全国の都道府県別出現率のトップは「長野県」の14.6%(3700社)で、「栃木県」13.6%(2948社)、「島根県」13.4%(1213社)が続きます。自動車関連や精密・電子部品など製造業の集積地や、小規模企業の比率が高い地域で出現率が高くなる傾向があり、愛媛県は相対的にはまだ低い水準に位置しています。しかしながら、53社の増加で増加に転じたこと自体が、4年間続いた改善トレンドからの転換点を示す重要なシグナルと言えます。
全国調査で注目すべきもう一つのデータが、「境界層」の存在です。中低リスク層(グレード1~7)の中でも最もリスクの高いグレード7の企業は全国に約10万社存在しています。この層は、高リスクから回復途上にある企業と、かろうじて中低リスクに踏みとどまっている企業が混在する「境界層」であり、短期的な需要変動や資金調達環境の変化により高リスク層へ再転落する可能性を常に抱えています(出典:帝国データバンク全国調査)。愛媛県においても、1352社の高リスク企業だけでなく、その周辺に位置する「予備軍」企業の動向まで視野に入れておく必要があるでしょう。
一方で、全国では増収増益を達成している企業も14.2万社存在しています。環境変化に応じて価格転嫁を進め収益を確保する企業と、物価高や人件費上昇への対応が遅れ倒産リスクを抱える企業の間で「二極化」が進行しているのが、現在の日本経済の実態です。愛媛県でも同様に、帝国データバンクの意識調査では2026年度に賃上げを予定する県内企業は72.3%に達する一方(出典:日本経済新聞 2026年3月17日)、賃上げの原資を確保できない企業では人材流出と業績悪化の悪循環に陥るリスクが指摘されています。
帝国データバンクは全国調査の中で、今後の経営環境についてこう結んでいます。「不確実性が高まる経営環境においては、平時以上に市場や取引先の動向、需給の変化を丁寧に把握し、状況に応じて柔軟に舵を切れる体制が一段と重要になっている。持続的な成長を実現するためには、成長企業との関係強化に加え、事業再構築やM&Aの活用、サプライチェーン再編など、内外の両面から経営基盤を強化していくことが不可欠である」(出典:帝国データバンク全国調査「今後の見通し」)。
愛媛県の1352社の高リスク企業は、倒産という最終局面に至る前の「先行指標」です。帝国データバンク松山支店が指摘するとおり、企業倒産の先行指標ともいえる高リスク企業の増加は、倒産の増加の可能性を予想させるものです(出典:FNNプライムオンライン 2026年4月20日配信)。2026年後半に向けて返済負担と地政学リスクが高まるなか、愛媛県の中小・小規模事業者が持続的に事業を継続できるか、行政・金融機関・商工団体を含めた重層的な支援体制の構築が急がれています。
引用・参考情報一覧
| 情報元 | タイトル・内容 | 発表日・配信日 | URL |
|---|---|---|---|
| FNNプライムオンライン(テレビ愛媛) | 「1年以内に倒産」愛媛の高リスク指標の企業は1352社 4年ぶり増加 従業員10人未満が8割 | 2026年4月20日 | https://www.fnn.jp/articles/-/1032724 |
| 帝国データバンク | 全国企業「倒産リスク」分析調査(2025年) | 2026年3月17日 | https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260317_highrisk/ |
| 帝国データバンク | 倒産集計 2025年度報(2025年4月~2026年3月) | 2026年4月8日 | https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20260408-bankruptfy2025/ |
| 日本経済新聞 | 倒産の高リスク企業、4年ぶり増加 製造業が最多 帝国データ調べ | 2026年3月18日 | https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC177Y50X10C26A3000000/ |
| 東京商工リサーチ | 2月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は27件 返済開始の最後のピーク | 2026年3月9日 | https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202626_1527.html |
| Yahoo!ニュース(テレビ愛媛) | 愛媛の2025年度の企業倒産59件と高水準続く | 2026年4月7日 | https://news.yahoo.co.jp/articles/15007722194c5064c204334793be0fecd187ab7f |
| 日本経済新聞 | 「26年度に賃上げ」愛媛企業の72% | 2026年3月17日 | https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC161100W6A310C2000000/ |
まとめ
帝国データバンク松山支店が2026年4月15日に発表した独自分析により、愛媛県内で1年以内の倒産リスクが高い企業は1352社にのぼり、4年ぶりに増加に転じたことが明らかになりました。高リスク企業の約8割を従業員10人未満の小規模事業者が占め、売上1億円未満の企業が6割を超えるという構成は、地域経済を下支えする中小・零細企業の脆弱性を如実に物語っています。
業種別では運輸業(140社)、飲食店(139社)、職別工事業(125社)、総合工事業(110社)が上位に集中し、物流コストの上昇、消費の伸び悩み、資材高・人手不足といった業種固有の課題が企業の経営体力を着実に削っている構図が浮かび上がります。2026年9月に返済ピークを迎えるコロナ借換保証(全国で約27.7万件・約7.1兆円)と、中東情勢の混迷による原油高・物流混乱という「二重リスク」は、特に経営基盤が弱い企業にとって深刻な脅威となります。
全国では高リスク企業が12万8220社と4年ぶりに増加し、2025年度の全国倒産件数も1万425件と2年連続で年度1万件を超えました。愛媛県の高リスク企業比率7.1%は全国平均の8.7%を下回るものの、増加トレンドに転じたこと自体が、今後の企業倒産増加を示唆する先行指標として重く受け止められるべきです。企業間の二極化が一段と進行するなか、経営環境の変化に即応できる体制づくりと、行政・金融機関による支援の充実が愛媛県の地域経済の持続性を左右する鍵となるでしょう。

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